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内田康夫「志摩半島殺人事件」

ルポライターにして名探偵、浅見光彦が活躍するシリーズのひとつ。浅見光彦は内田氏がつくりあげた、当今のミステリー界でもっとも魅力的なキャラクターのひとりでしよう。映画やテレビドラマでも親しまれています。
物語は、海女の取材で安乗(あのり)を訪れた光彦が、志摩の海で変死したうさんくさい過去をもつ売れっ子作家の事件に関わっていくというもの。

 志摩半島は春真っ盛りであった。一年じゅうが穏やかな土地柄だが、その中でももっとも優しい季節である。英虞湾の水はキラキラと輝き、岸辺の木々は若々しいみどり色に装いを変え、パールロードの丘のいたるところに、さまざまな野の花が咲いていた。
 しかし、そういうまばゆいばかりの風景の中を走っていても、浅見の気分は憂鬱そのものであった。
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 志摩観光ホテルは期待どおりすばらしいホテルであった。軽井沢の老人に勧められた黒アワビのステーキも、期待以上のものがあった。昨タ、浅見は思いきり気張って、ディナーのフルコースを注文したのだが、「料理長自己流」という伊勢エビの料理も絶品といってよかった。
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 部屋からの眺望も満足できた。まさに山崎豊子の『華麗なる一族』に描かれた風景そのものが、窓いっぱいに広がっていた。

内田氏のミステリーの特徴は、場所が単に物語の舞台としてあるのではなく、その土地の風土や生活などが、物語の骨格にきっちりと組み込まれていることでしよう。また味だけではなく、海女の世界やその仕事、真珠の話などカイドブック的要素がちりばめられているのも魅力です。
合わせて読むと面白いのは、同じく光文社文庫『浅見光彦のミステリー紀行 第3集』。小説の舞台となった志摩各地のガイドやホテル、味などが作品のシチュエーションに応じて、時には作品の種明かしもまじえて紹介されています。

パールロードは志摩の東海岸を結ぶ展望のいい道。鳥羽駅からバスに乗ると車窓にひらける美しい伊勢湾が楽しめます。途中の鳥羽展望台は天候しだいで富士山まで見えるという絶景。


交通
安乗=鵜方駅→三重交通バス
あご湾=賢鳥駅下車
志摩観光ホテル=賢鳥駅→シャトルバス
パールロード=賢鳥駅→三重交通バス



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