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山崎豊子「華麗なる一族」

山崎氏は、時代に鋭く切りこんだ数々の話題作を世におくりだした作家です。近年は超大作『大地の子』が大きな反響を呼びました。
『華麗なる一族』は銀行の合併問題を軸に、男の飽くなき野望とその奔流にのみこまれてゆく人々の、壮絶な人間模様を描いた長編で、物語は主人公一族のすばらしくリッチで豪奢な、正月の晩餐風景で幕を開けます。その舞台になったのが志摩観光ホテルです。昭和48年に映画化され、志摩観光ホテルでの晩餐シーンでは、ホテルの社員もエキストラとして出演したそうです。

 陽が傾き、潮が満ちはじめると、志摩半島の英虞(あご)湾に華麗な黄昏(たそがれ)が訪れる。
  湾内の大小の島々が満潮に洗われ、遠く紀伊半島の稜線(りょうせん)まで望まれる西空に、雲の厚さによって、オレンジ色の濃淡が描き出され、やがて真紅の夕陽が、僅か数分の間に落ちて行く。その一瞬、空一面が燃えたち、英虞湾の空と海とが溶け合うように炎の色に輝く。その中で海面に浮かんだ真珠筏がピアノ線のように銀色に燦き、湾内に波だちが拡がる。

山崎氏はこの冒頭を書くにあたって、日没時間を調ベ、その時刻あらゆる場所から夕陽を見たそうです。しかし夕陽があまりに壮麗なため、その魅力を文字におきかえる作業はたいそう難しかったとエッセイに書いています。推敲(すいこう)を重ねて書き上げられたのが、この冒頭の文章なのです。
処女作『暖簾』をはじめ『花のれん』『女の勲章』なども書きだしは、志摩観光ホテルで執筆されました。
あご湾は一日に「七色に変わる」といわれ、黄昏がもっとも有名ですが早朝の清らかな美しさもたとえようがありません。

あご湾の多島美を展望するなら横山展望台、ともやま公園にある登茂山(ともやま)展望台、あご湾の神秘を体感するなら「賢島エスパーニャクルーズ」がおすすめ。


交通
あご湾=賢島駅下車
志摩観光ホテル=賢島駅→シャトルバス
横山展望台=鵜方駅→三重交通バス
ともやま公園=鵜方駅→三重交通バス
賢島エスパーニャクルーズ(あご湾遊覧)=賢島駅下車(賢島港)



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