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佐保・佐紀路(さほ・さきじ)


散策コース<徒歩約12km>
近鉄奈良駅→奈良交通バス般若寺下車…般若寺…奈良豆比古(ならづひこ)神社…不退寺…ウワナベ古墳…コナベ古墳…海竜王寺…法華寺…平城宮跡…日葉酢姫命(ひばすひめのみこと)陵…成務(せいむ)天皇陵…神功皇后陵…秋篠寺…西大寺駅


東大寺の転害門(てがいもん)から、まっすぐ西にのび法華寺にいたる道が佐保路で平城京の一条大路にあたる。ここからさらに西大寺にのびるのが佐紀路である。奈良市のハイキングコース歴史の道が、この北に長々と横たわる丘陵を縫って設定されている。
上記のコースを2回に分け古えの佐保路や万葉集に多く詠まれた佐保川、古い家並みを残す法蓮町(ほうれんちょう)などにも足をのばせばいっそう趣きふかい散策になる。
コース内の古寺はいずれも「花の寺」で雪柳、椿、山吹、かきつばた、コスモスなどが咲く。好きな花の季節に合わせて歩きたい。春をつかさどる女神を「佐保姫」というのは平城宮から見て佐保川上流は太陽が上る東にあり、ここから春が運ばれてくると考えられたためらしい。ちなみに佐保川の源流は春日山の鴬(うぐいす)の滝、と春づくし。
奈良市のハイキングコース歴史の道


恋のドラマに彩られた道

佐保路は貴族たちが豪邸をつらねた天平の、いわば超高級住宅街。多彩な恋愛遍歴をもち才気あふれる恋歌を詠んだ坂上郎女(さかのうえのいらつめ)、多くの女性の憧れだった恋多き大伴家持、一途な恋に生きた笠郎女(かさのいらつめ)、「いつの間に僕はこんなに君を恋するようになったんだろう」などと女心をグラリとさせる素敵な歌を詠んだ藤原麻呂など、万葉集に鮮やかな感性を記した歌人たちも行き来した道である。
またこのコースにゆかりの人はいずれもユニークなエピソードに彩られている。不退寺を創建した在原業平(ありわらのなりひら)は平安朝きってのプレイボーイで知られ『伊勢物語』の主人公といわれる人。業平の祖父、平城(へいぜい)天皇は妻の母、つまり姑に激しい恋をした。磐之媛は嫉妬深さを正史にまで書かれた無類の情熱家。また法華寺に横笛像という珍しい紙子像がまつられている。恋に破れた横笛が、仏門に入り「悟りの文」をしたためた紙で自像を造ったというもの。きゃしゃで哀しげな姿に、女の想いの深さをひめて印象的だ。

佐紀盾列(たたなみ)古墳群

奈良盆地の北に長々と横たわる平城山(ならやま)(東は佐保山、西を佐紀山という)には、大小あわせて約50基もの古墳が集中している。大型古墳が多いのが特徴で、大和にある全長200mをこす前方後円墳19基のうち7基までがこの地に築かれている。歴史の道はこれらをうねくねと縫っている。
不退寺〜磐之媛命陵、平城駅周辺は大型古墳が文字通り盾を並べたように接している。ことに日葉酢姫命陵と成務天皇陵に挟まれた道は松並木が美しく、成務天皇陵の拝所は庭園風の趣きだ。一帯は静寂につつまれ墳丘の森に棲む野鳥のさえずりが、ひときわ大きく聞こえてくる。


般若寺 不退寺 法華寺 秋篠寺 平城宮跡


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