一条天皇の発願により、関白九条兼家の子兼俊が正暦3年(992)に創建。 かつては86坊の堂塔、伽藍が立ち並ぶ大寺院だったが、治承4年(1180)の平重衡の南都焼き討ちによってそのほとんどの堂宇を焼失。
後に興福寺別当の信円僧正が法相宗の学問所として再興し、それ以後興福寺の別院として再び隆盛したが、今度は明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によって衰退する。現在残っている建物は、本堂と鐘楼、それに重要文化財に指定されている福寿院のみ。 この福寿院には鎌倉時代の木造孔雀明王座像をはじめ、狩野永納の襖絵「富嶽」や、虎の絵で有名な岸駒(がんく)の「龍虎」などが収蔵されている。
また正暦寺のある菩提山は、お釈迦様の修行をした聖地にちなんだ五大山のひとつ。 それぞれ鹿野園(ろくやおん)、大慈仙(だいじせん)、忍辱山(にんにくせん)、誓多淋(せたりん)、菩提山(ぼだいせん)といい、聖地とおなじように、五つの山が右回りに春日山原始林を取り巻いている。
寺へと向かう山道は菩提山川の渓流に沿って苔むした石垣が続き、山里の雰囲気をかもしている。秋には“錦の里”と呼ばれるほど、紅葉が美しいことでも有名。
清酒発祥の地としても知られ、「菩提もと」と呼ばれる酒母の製造免許をもつ。この「菩提もと」を使って仕込まれたお酒も販売している。
紅葉10月下旬〜11月上旬。 |