ものづくりのまち八尾 盛り上げプロジェクトの写真 ものづくりのまち八尾 盛り上げプロジェクトの写真

協同体ならではの
人を惹き付ける仕掛けで
八尾市の活性化を後押し

住むまち近鉄story

PROJECT 07

ものづくりのまち八尾
盛り上げプロジェクト

近畿日本鉄道株式会社 担当部署 / 企画推進部
自治体 八尾市 担当部署 / 魅力創造部産業政策課
コンソーシアム みせるばやお

※部署名などは取材当時のものです

“ものづくりの八尾”の
認知度をもっと広めたい

オープンファクトリーイベントの写真オープンファクトリー

近畿日本鉄道(以下 近鉄)
近鉄の沿線エリアにはそれぞれ特色があります。産業が盛んな街も色々ある中で、八尾市では地元の産官学が連携したコンソーシアムの「みせるばやお」が“ものづくりのまち八尾”を広めるために面白い取り組みをされていました。そんな、みせるばやおの熱意に心を動かされ、八尾市がものづくりの街であることをもっと広めたい、そしてこのまちに関わる人々が増えてほしいという思いで、みせるばやおさん・八尾市さんとの協働がスタートしました。
八尾市
みせるばやおは八尾市の中小企業支援施策の一環として、企業や金融機関、大学や地域住民が集まり誕生しました。その活動の一つに、2020年から開催している地域一体型オープンファクトリーイベント「ファクトリズム」があり、近鉄さんには2回目から協賛いただいています。
みせるばやお
今でこそ参加企業も来場者も増えて規模が大きくなってきているイベントですが、当時は認知度をどうやって広めていくか、ものづくりに興味のない人たちへはどうアプローチしたらよいのかといった課題を抱えていました。そんな中、近鉄さんから駅をPRの場として活用してはどうかとご提案いただいて。
近鉄
ただ協賛するだけでなく、ファクトリズムのために当社ができることは何があるかと考えたところ、鉄道会社としての“お客様の輸送力”と“人が集まるターミナル駅を有する”特徴を活かしたPRができるのではないかという話が挙がりました。そこで、両方の特徴を持ち、近鉄八尾駅まで1本で行ける大阪上本町駅でのイベント実施、といったPRをご提案しました。これが最初の協働ですね。

近鉄初企画!
ホームと電車内でワークショップ

ワークショップの写真

みせるばやお
私たちの課題と近鉄さんの強みがマッチしたことで、駅に停まっている電車の中でワークショップの体験ができる「こうばのでんしゃ」の開催へと動きはじめましたね。
近鉄
電車内でワークショップを実施するのは、当社にとってはじめてのことでした。関係各所への説明や安全確認など、クリアする課題はたくさんありましたが、ファクトリズムの魅力は、ものづくりの面白さを職人さんから直接教わり、肌で感じることができるワークショップにあると思っていたので、出来るだけオープンファクトリーと近い形で実施したいと思い実現に向けて奔走しました。
八尾市
参加企業からは、やりたいことのアイデアが色々と出てきましたね。中には重量100㎏のプレス機を使いたい、といった希望もあって、近鉄さんも調整が大変だったのではないかと思います。笑
近鉄
そんな場面もありましたね! やる気にあふれた企業さんばかりで、私たちも皆さんの希望をできる限り通したい!と思い社内調整を進めていきました。

こうばのでんしゃの写真こうばのでんしゃ

新たな縁をつないだ
「こうばのでんしゃ」

みせるばやお
鉄道の広報誌に掲載いただいたことや近鉄さんがグッズ販売で出店されたこともあり、電車好きの方がワークショップに参加されるといった、これまでにない方々との出会いがありました。さらに、駅構内でイベントのアナウンスもしていただいて。
近鉄
はい、多くの方に知っていただけるようにと手配していました。アナウンスのおかげか、ご婦人がふらっと立ち寄ってくださったりするシーンもありました。
みせるばやお
八尾市がものづくりの街であることを知らない方に来ていただけたのは、年齢や性別、職業もさまざまな方々が行き交うターミナル駅ならではですね。
近鉄
さらに、2023年秋にはファクトリズムへより多くの方に興味を持っていただけるように、サテライト会場として八尾市さんやみせるばやおさんと八尾市内の公園で開催したのが「こうば de マルシェ」でした。
八尾市
このときは、駅構内でのポスターの貼り出しや、電車の中吊り広告などで告知いただき、近鉄さんの拡散力を十二分に発揮いただきました。鉄道という、毎日多くの方が利用される場で広報できるのは、とても心強いですね。

シェアサイクル設置で
イベントをサポート

こうばdeマルシェの写真こうばdeマルシェ

近鉄
「こうばdeマルシェ」の開催は、このイベントを通じてファクトリズムの認知度向上に貢献できればと、実施することになりました。広報活動に関しては、今の時代はネットでの情報収集が中心ですが、興味がないと調べてもらえないので、日々の暮らしで利用する駅や電車で告知を行えばより多くの方に伝わるかと。当社ならではのアプローチが活かせたのでは、と思っています。
八尾市
イベントでは気軽に参加できるように、ワークショップだけでなく飲食店にも出店してもらったかいもあって、多くのお客様にお越しいただけたと感じています。他にも、八尾市で導入しているアプリ「まちのコイン」を活用したファクトリズムを巡るスタンプラリーも実施しましたよね。
近鉄
スタンプラリーのスタートを近鉄八尾駅にしていただいたこともあって、開催前に合わせて駅にシェアサイクルを設置したところ、当日は多くの方にご利用いただきました。シェアサイクルはその後も、沿線の他の駅よりも利用率が高いので、地域の皆さんのニーズにフィットしたのだと感じています。
みせるばやお
そうなんですね。自転車があると、ファクトリズムも巡りやすくなりますね。

近鉄八尾駅を
ものづくりのシンボル的存在に

近鉄八尾駅 リニューアル式典の写真近鉄八尾駅 リニューアル式典
(左から、みせるばやお理事、八尾市市長、近畿日本鉄道社長)

近鉄
ファクトリズムへの協賛を機に、八尾市さんやみせるばやおさんと一緒にさまざまなイベントを開催してきましたが、2023年の冬には近鉄八尾駅のリニューアルも共に実現することができました。
みせるばやお
2021年ごろに近鉄さんから「駅をものづくりの発信拠点の一つにしませんか」とご提案いただいてから3年越しでしたね。色々アイデアを出し合った結果、待合室という駅の一部をものづくりを連想させるデザインに変えることができたり、構内にギャラリーをオープンできたりと、“八尾=ものづくり”のストーリーを表現する場にできました。
近鉄
これも、ひとえに八尾市さんやみせるばやおさん、皆さんの熱量があったからこそ実現できたのだと思っています。
みせるばやお
観光地ではない八尾市の駅を、シンボル的な見せ方にできたのは地域にとっても大きな意味合いがあると思っています。他のエリアから来られる方に「八尾はこんなまちです」と駅でPRできるのもいいですね。先日、海外から来られた方にも紹介したところ、非常に好評でした。
八尾市
地元企業の製品を展示するギャラリー「こうばのステーション WAO! YAO」は私たちがマネジメントを担っていて、3ヶ月ごとにテーマやコンセプトを決めて入れ替えていく予定です。展示に関して市内企業の反応が高く、問い合わせが入ってきています。
みせるばやお
展示に関わっている企業さんはすごく喜ばれていて、駅に見に行かれているようなので、駅への入場券がいつもより売れるという面白い現象が起きていると思います。笑

ファクトリズムの写真ファクトリズム

沿線網を活かして、
各地と八尾をつなげるように

みせるばやお
現代はITの普及で便利になる傍ら、ものづくりの職人の気配を感じにくくなっている側面があります。以前、まちこうばの経営者の方から「僕らのことなんて、だれも興味ない」という発言をされ、非常に悲しい気持ちになりましたが、ファクトリズムは、こうしたものづくりの職人とのつながりを創出する機会になっていると感じています。嬉しいことに毎年、足を運んでくれるお子さんもいて、工場の職人を師匠と呼んで、ここで働きたいと言ってくれたりして。それで職人のテンションも上がっているので、こうした活動を続けていくことが未来につながっていくのだろうと期待しています。
近鉄
当社としても、さらに“ものづくりのまち八尾”の魅力を広く伝えていき、地域活性化へのサポートができればという思いから、2023年10月に八尾市と連携協定を締結させていただきました。これにより、今後は協働におけるフットワークにもっと勢いがつくと思います。
みせるばやお
ファクトリズムは八尾市だけでなく各地に広がりつつあるので、近鉄さんの沿線網の力をお借りして、地域と地域をつなぐマイクロツーリズムを一緒にできたらいいですね。私たちと八尾市と近鉄さん、三者が協同で動けば色々と広げていけそうです。
八尾市
私たちは2025年の大阪・関西万博に自治体として唯一出展するので、近鉄さんには会場と八尾市との架け橋になっていただけたらと期待しています。
近鉄
当社の強みは愛知、三重、奈良、京都、大阪と広域に沿線が走っていることなので、さまざまなエリアから八尾に足を運んでいただけるような仕掛けを、万博の時はもちろん、今後もみなさんと一緒に企画し取り組んでいけたらと考えています。